夏の日差しは強くて……。

　
　昨日の雨雲は何処へ消えたのだろう。

　そんな事を思いながら、暮森ヒロトは窓の外に広がる青空を恨めしそうに見つめた。
　晴れている事に問題は無い、寧ろ大歓迎なのだ。
　特にここ数日は梅雨模様だった所にゲリラ豪雨も加わり、何とも不安定な天気が続いていた。

　繰り返すが、晴れている事に問題は無い。
　寧ろ大歓迎なのだ。

　だが。
　
「……これで気温さえ、もう少し低かったら」

　雨粒の代わりに降り注ぐ熱射。
　それが湿気と混ざり合い、非常に暑い。

　ヒロトは溜息を吐き、額を手の甲で拭った。
　座っているだけで、汗がしたたり落ちてくるのだから堪らない。
　後方に置いた扇風機も奮闘してくれているが、効果は芳しくない。
　送ってくる風が生温いのだから、仕方が無いが。

「何を言ってるんですか、夏が暑いのは当たり前ですよ♪」

　と、ヒロトの心境とは真逆の色を含む弾んだ声が、窓際から響いた。
　レーン部分に視線を落とすと、専用の黒布団を敷いた上で日光浴を楽しむ、手乗り竜の姿が有った。

「……御機嫌だねえ、コスモ」
「ふふ、夏は俺の季節ですからね」

　ヒロトの呆れる様な半眼も気にせず、日光で暖まった布団の上を、嬉しそうにコロコロと転がるコスモ。
　和むべき光景なのだろう、この暑ささえ無ければ。

「ふふ、暖かいですね♪」
「……暖かいんかい」

＊

　ダラダラっと日常風景。
　この時期の、コスモとの会話は疲れます。