廃墟の語り場
トリコロ、仮面ライダー、その他四コマ萬画やら普通の萬画やらを読んだり語ったり、対話式私信を送ったりする場所です。
作成日2006年4月3日、移転日は2009年5月13日。
ようこそ♪
カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
ブログ内検索
散財の記憶

■2025年分の散財の記憶■    ・1月 Nintendo Switchソフトあつまれ どうぶつの森 DL版  

   
視聴・鑑賞した作品

■2025年分の視聴・鑑賞した作品■    ・・1月   ・映画  機動戦士Gundam GQuuuuuuX-Beginning- ・放送開始  悪役令嬢転生おじさん  戦隊レッド 異世界で冒険者になる  ウルトラマンニュージェネレーションスターズ   ・放送終了  ウルトラマンアーク   ・・去年からの引き続き るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱 重甲ビーファイター ジャッカー電撃隊 ウルトラマンアーク 爆上戦隊ブンブンジャー  

   
カテゴリー
アーカイブ
554】 【555】 【556】 【557】 【558】 【559】 【560】 【561】 【562】 【563】 【564


■ドラゴン・ガントレット■


震える満月 現る異形
 
 漢の叫びが 木霊する
 
 応えて魅せよ 姿を変えろ!
 
 その名は ドラゴン・ガントレット!!

 
 知在る竜に生み出され

 運命(さだめ)に挑む漢の下へ

 数多の修羅場を切り捨てて
 
 散らせ浴びたる 外道の血雨

 何も語る事は無い

 唯、願いに応えるだけさ

 胸に秘めたる不動の覚悟

 叶える為の糧になる!!


 月夜に浮かぶ 無粋な異形

 平和を乱すは 愚考の使者
 
 気高く冴えろ 戦いは今
 
 その名は ドラゴン・ガントレット!!


 理捨てた闇に汚されて

 運命(さだめ)を惑う漢の為に

 数多の修羅場を駆け抜けて

 散らせ踏み抜く 魔物の臓腑

 何も迷う事は無い

 唯 想いを受け止めるのさ

 胸に秘めたる不動の決意

 叶える為の腕と為る!!


 誓いを嘲う 愚かな異形

 娘を狙うは 卑劣の騎士
 
 猛りが流れ 力に変わる
 
 その名は ドラゴン・ガントレット!!



 震える満月 現る異形
 
 漢の叫びが 木霊する
 
 応えて魅せる 姿よ変われ!
 
 我が名は ドラゴン・ガントレット!!
  
 運命に 抗う者の 護り手為り!

 我が名は
 
 ドラゴン・ガントレット!!
  

 *

 みいなさんの書いている作品、ドラゴンマウンテンの主人公が一人ガントが使用する武器「ドラゴンガントレット」イメージして作った似非歌詞です。ガントの想いに応え、ガントの望む姿に変わり、何も語らず、唯、ガントの誓いを果たす為の糧と為る武具。そんな事を想像してたらこの歌詞が出来ました。

拍手[0回]



■竜山英雄■


You are dragon mountain
 number one Ranger!!

 竜の山に現れる

 素敵な勇士を知ってるか?

 気障な姿に隠された

 天下無敵のその力

 愛してやまない女達

 天使の微笑み守る為

 舞い上がれ! 駆け抜けろ!

 不屈! 不屈!

 不屈の男!!

 降り満ちる衝撃

 威風為り

 踊る戦刃に映るのは

 悪鬼共の断末魔か

 胸に誇りを抱く

 戦友の息吹高らかに

 掲げし剣は明日を呼ぶ

 He is dragon mountain
 number one Ranger!!



 遠き街で謡われる

 無敵の勇姿をもう見たか?

 気障な仕草に隠された

 優しき眼差し鍛え道

 心を許した仲間達

 友の窮地を 救う為

 起ち上がれ! 駆けつけろ!

 不敵! 不敵!

 不敵の男!

 踏み止(とど)まる様は

 孤軍為り

 一騎当千の証明は

 崩れ散る外道共か

 胸に怒りを抱く

 戦友の猛り此処に呼び

 明日への扉を打ち開く

 Thou dragon mountain
 number one Ranger!



 照らす陽光を受け止めて

 輝くその姿 飾るのは

 乙女達の桃色吐息

 胸に誓いを抱く

 己(おの)が心は揺るがせない

 明日に女神の祝福を

 I am a dragon mountain
 number one Ranger!

 *

 みいなさんの書いている作品、ドラゴンマウンテンの登場人物が一人クロフォードをイメージして作った似非歌詞です。作中にて、他の登場人物とは一線を越えた活躍を見せるナイスガイですぜ!
 
 

拍手[0回]

 
■獣人~けものびと~■

1、

 蒼い月 遠く見上げて

 雄叫び唸る 一人の獣

 愛したいと 強く願う

 抱いた想い 言葉に出来ず

 変わり果てた この姿 されど

(記憶(ここ)には!)

 記憶(ここ)にはまだ 俺が在る

 獣の四肢 奮わせて

 駆け抜けるのさ 未来へ

 何時かまた 再び

 オマエを この手に抱き愛でる

 そんな 日々を

 幻想(ゆめ)に観る……

2、

 紅い月 強く見据えて

 求める先は 遙かな旅路

 護りたいと 強く願う

 抱いた想い 力に変えて

 変わり果てた この姿

 されど

(心(ここ)には!)

 心(ここ)にはまだ 俺が在る

 獣の牙 奮わせて

 切り抜けるのさ 希望へ

 何時かまた 再び

 オマエを この手に抱き締める

 そんな 日々を

 陽光(あす)に観る……



 居場所(ここ)へとまた 戻る為

 獣の身体 奮わす

 取り戻すのさ 安らぎ

 何時かまた 再び

 オマエと 二人で抱き語る

 そんな 日々が

 現実(いま)と為る……

 *

 みいなさんが付けてくれた曲に合わせる形で、獣人の歌詞を変更した物です。元はスローテンポの曲をイメージしていたので、元のままだと歌い難い場所が多々有るんですよ。
 
 

拍手[0回]


■獣人■

 1、

 蒼い月 遠く見上げて

 雄叫び唸る 一人の獣

 愛したいと 強く願う

 抱いた想い 言葉に出来ず

 変わり果てた この姿

 されど

 記憶(ここ)にはまだ 俺が在る

 獣の四肢を 奮わせて

 駆け抜けていく 未来への道

 何時か 再び

 オマエを この手に抱き愛でる

 そんな 日々を

 夢に観る……

2、

 紅い月 強く見据えて

 求める先は 遙かな旅路

 護りたいと 強く願う

 抱いた想い 力に変えて

 変わり果てた この姿
 
 されど

 心(ここ)にはまだ 俺が在る

 獣の牙を 奮わせて

 切り抜けていく 希望への日々

 何時か 再び

 オマエを この手に抱き締める

 そんな 日々を

 明日に観る……



 獣の身体 奮わせて

 取り戻すのさ 俺達の日々

 何時か 再び

 オマエと 二人で抱き語る

 そんな 日々が

 現実(いま)と為る……

 *

 ドラゴンマウンテン第二部でのガントをイメージして書いた歌詞。此方もみいなさんが曲を付けてくれました!

 

拍手[0回]

 

■GAUNTLET■



 夜空 蒼く 照らし出す

 月の光 それは奇跡

 降り注いだ祝福 受け止めて

 俺の力 今 解き放て!

 例えその身を変えようと

 心は 元のままで

 奔る痛みを押し留め

 その現実 受け止めて

 隣に居たい人が居る

 共に歩むと叫びたい

 胸に宿りしこの力

 全てを オマエニ  ササゲヨウ!

   夜空 蒼く 照らし出す

 月の光 それは奇跡

 降り注いだ祝福 受け止めて

 俺の力 今 解き放て!

  2

 例え記憶が怯えても

 心が 求めている

   募る不安を噛み砕き

 その真実 曝け出す

 どんな外道が相手でも

 オマエを渡すつもりは無い

 胸に宿りしこの力

 全ては オマエノ  タメニアル!

    夜空 紅く 照らし出す

 月の光 それは悪夢

 降り注いだ絶望 殴り捨て

 俺の力 今 解き放て!

  3

 何時かこの腕この足が

   砕けてしまう明日が来る

 その時まではこの命

 全てで オマエヲ  アイシタイ!

    夜空 紅く 照らし出す

 月の光 それは悪夢

 降り注いだ絶望 殴り捨て

 俺の力 今 解き放て!

    夜空 蒼く 照らし出す

 月の光 それは奇跡

 降り注いだ祝福 受け止めて

 俺の力 今 解き放て!

 大地 駆ける オマエこそ

   俺の光 それは未来

 咲き誇る微笑みを 護りたい

 俺の気持ち 今 打ち明ける

 俺の誓い 唯 抱き締めて……

*

 みいなさんがサイトで連載中の作品ドラゴンマウンテン。その主人公が一人ガントをイメージして作った歌詞です。
 ……みいなさんがこの歌詞を気に入ってくれて、何と曲が付けてくれました! 凄く熱いですぜ!!
 
 

拍手[0回]

 
ヒロト
 何だか本日は、WEB拍手を凄く押してくれた方が居たみたいで。
 いやはや、ありがとうございます。


コスモ
 これからも、期待に添える様な更新をしていきたいですね。
 ともあれ、そろそろ連絡通路へ行きましょうか。
 
 

拍手[0回]

 
 
 あの日に言えなかったことを伝えたい。

 そんな思いを胸に、俺は此処に来た。

 大丈夫、今の俺には隣に居てくれる人が居る。



 だから、大丈夫。



〇A bird having a tusk〇

 

「静かだな、、まあ良いか」



 平日の墓場は物淋しい。

 あまり騒がしい場所が苦手な少年にとって、それは幸いな事だった。

 だが、その表情は物憂げしい。

 原因は、、やはり空にある。



「だが、、こう晴れていてはな」



 見上げれば紛う事の無い蒼穹。世間一般的における墓参り日和だが、どうにも少年にとっては、あまり良い日和ではないらしい。

 

「曇らないかな、、無理か」

 

 幼稚園児とその母親を敵に回し、一部の父親を味方に付ける様な台詞を、彼は溜め息と共に零した。

 

 多く見積もっても中学生程度を思わせる背丈に、肩まで伸ばした黒い髪。

 まだまだ幼さを残す顔に、年不相応な鋭い眼差しが宿る事を知る人間は数少ない。

 黒の上下にやや大きめのコートを来た彼の両腕にはそれぞれ、新聞紙に巻かれた仏花と水の入った桶を掴んでいた。

 

「……遅いな」

 

 暫し見据えていた空から視線を落として、少年は振り向いた。

 彼の目線の先には砂利を敷いただけの駐車場、その先にある自販機の前に佇んだ少女へと向けられる。



 高校生、少なくとも少年以上の年齢だとは思わせる背丈に 艶の有る黒髪をポニーテイルで纏めた、大きな瞳の彼女。

 白のワンピースの上に少年とお揃いのコートを羽織った彼女の腕には、お供え物の入れられたビニール袋が、しっかりと握られている。



「栞、まだか?」



 駆け寄るのも面倒に思い、その場で大声を出す少年。



「ちょっと待って~!」



 少年に”栞”と呼ばれた少女は慌てた様子で自販機のボタンを押す。そして出て来た缶を拾うと、急いで少年の元へと駆け寄った。



「はい、クロウ君の分!」



 どうやらこれが悩みの種だったらしい。

 いや、正確には「何でも良い」等と数分前に答えた少年の所為か。

 ばつの悪さを感じながら、少女に”クロウ”呼ばれた少年は差し出された缶を受け取る。



「ああ、済まない。……君の分は?」

「え、、ああ!?」

 

 何気ない問いに固まる少女。

 少年の分を買った時点で満足してしまい、自分の分を忘れていたらしい。



「忘れてた! ちょっと待ってて!!」

「おいおい……」



 再び駆け出す少女に苦笑いを浮かべながら、少年は缶ジュースのプルタブを開け、中身を喉に流し込む。

 

 ……緊張で乾いていた少年の喉に、炭酸飲料は刺激が強過ぎた。

 



 

 墓地の外れに位置した、真新しい墓石。

 入り口からは遠いが、新設された水場は近くに有るのだから恵まれていると言えばそうなのだろう。



「……お久しぶりですね、御主人。と言っても、2週間前にも来ましたが」



 感慨深そうな呟きと裏腹に少年は軽く会釈をし、少女は無言で深く頭を下げる。

 少年は長き時を語る趣味を持たず、少女にとってその男性は殆ど縁が無い。

 だからこその、態度の差。

 

「……それじゃあ、俺は墓石を拭いてるから、栞は湯呑と花受けを頼むよ」



 挨拶以外は特に話す事もないらしく、銀色の容器と湯呑みを少女に渡すと、少年は墓に登り水で濡らした雑巾で墓石を拭き始める。



「うん、分かった!」



 少女は少年から受け取った物を両手に水場へと走った。

 そんなに急ぐ必要も無いのだが、指摘するのも面倒なので黙っておいた。

 思えば今日は少女の走る姿ばかり見ている気がして、青年は小さく笑みを漏らす。



「……貴方が黄泉路を歩んでから、一年が経ちました」



 少女の姿が見えなくなったのを確認し、おもむろに口を開く少年。

 それは思い出話なのだが、、そこに御主人は存在しない。

 やはり少年は、長き時を語る趣味は無い。

 だが、知らぬ時を伝える誠実さは抱いていた。



「この姿を得てからは半年、、やっと慣れましたよ。今は彼女、、栞と一緒に暮らしています」



 喋りながらも、少年は手を止めない。

 全体を拭き終わると墓石を降り、水桶からしゃもじを取出した。

 掬った水を、周りから少しずつ水を掛けていく。



(いいかい、クロウ。お墓の上から水を掛けては駄目だよ)

「……はい、御主人」



 おぼろげに思い出す昔。

 かつては囁かれるだけだった言葉に、少年は今更ながら相槌を打った。



(お墓というのは死んだ人そのものだからね、頭から水を浴びたら寒いだろう?)

「確かに水は厄介ですよね、、色々と疲れますし」



 苦味の混じる笑みはかつての、御主人と出会う前の記憶故か。

 少年は水を掛け終えると、手の持ったままの雑巾を水桶に入れた。

 綺麗だった水に汚れが広がり、みるみると濁っていく。 

 

(だから、クロウも覚えておきなさい。と、君には不要の知識だったかな?)



 老体には難しかっただろうに、少年の記憶の中の御主人は、墓の上へと乗り墓石を丁寧に拭いていた。

 そして全てを終えてから、肩に乗せたカラスを優しく撫でるのだ。暖かい微笑みと共に。

 その手も、笑みも、今は少年の記憶にしか無い。

 

「御主人、俺は……」



 呟き掛けた言葉は、短く響いた破壊音に遮られた。

 何かが落ち、砕ける音がして、一気に現実に帰った少年。辺りを窺えば、通路に座り込んた少女の姿が映る。

 

「どうした!?」

 

 少年は少女の下に急いだ。







「これは……」



 音の原因は、少女の近くに来てすぐに判明した。



「クロウくん……」



 少女は今にも泣きだしそうな顔で、駆け付けてくれた少年を見上げる。

 彼女の前に広がる水溜まり。

 その中には横になった花受けと、砕けた湯呑みの欠片。

 きっと転んでしまったのだろう。金属性の花受けは無事だが、焼き物だった湯呑みは半ば面影を残しつつ、それでもしっかりと割れていた。



「怪我はないか?」

「うん、大丈夫。でも……」



 目線を一番大きな湯呑の欠片に落として、少女は謝った。



「ゴメン、、湯呑が割れちゃった……」

「大丈夫、、御主人は物に執着がなかったから、そんな事で怒ったりしない。それに、物は何時か壊れる事を知っている人だったし……」

 

 言いながら、少年は少女の手を握って立ち上がらせる。



「ここは俺が片付けているから、栞は花の長さを調節していてくれ。大体、輪ゴムの手前で切れば良い」

「……うん、分かった!」



 名誉挽回とばかりに力強く頷くと、少女は一目散に墓前に向かう。

 その姿に安心してから、少年は湯呑の片付けを始めた。

 砕けた湯呑みを拾い上げ、その欠片を次々と手の平に乗せていく。

 ビニールを取りに戻りるべきだろうが、どうにも面倒だった。

 今、彼が御主人と呼ぶ男性が此処に居れば、きっと彼を叱っただろう。

 

(危ないから横着は止めなさい、とな。申し訳ありません、御主人……)

 

 それでも少年は作業を止めない。彼の手が動くたび水溜まりの中から破片が消え、かわりに少年の片手の重量が増していく。



「よし……」



 水溜りの中を見渡し粗方拾い上げた事を確認すると、少年は右手に乗った欠片達を見据えた。



「形ある物は何時か壊れる、、か……」



 自身で話した言葉に溜息を漏らし、少年は花受けを片手で抱えてから墓前へと向かう。

 







「これで大体終わったかな」



 一連の作業が終わり花が飾られた墓石。

 線香をオイルライターで炙りながら、少年は隣の少女に話し掛ける。

 だが、彼女の返事がない。



「おい?」

「え!? あ、その……」



 まごついた返事を返す少女に対して、少年はため息交じりに問い掛けた。



「どうした、まださっきの事気にしてるのか?さっきも言ったが御主人は物に執着がな……」

「ちがうの」



 言葉を遮る少女。訝しむ少年を見つめて、彼女は問い掛けた。



「ねえ、、どうしてここに私を連れてきたの?」

「……!」



 少女の問いに、少年の鼓動が一気に跳ね上がる。



「一人で十分できたよね? クロウ君、器用だし……」

「それは、、そうだが」

「今までだって何度か一人で来てるんでしょ? 2週間前にって、、どうして……」

「待った」



 少女の言及を止める少年。ライターをポケットにしまうと、白い煙を上げた線香を置き、困った様に髪を掻いた。



「確かに、墓参りだけなら一人で出来る。それぐらいの、、勇気はある」

「……勇気?」

「ああ」



 思わぬ単語に戸惑う少女へと振り向く少年。



「ただ、一人ではどうしても、今までどうしても出来なかった事がある」

「……それって?」

「お願いだ栞。何も言わずにあと少し、、もう少しだけ、この弱虫に付き合ってくれないか?」



 口に小さな笑みを浮かべ、それでも真剣な瞳の少年のお願いを、少女が断れる筈が無かった。







 線香の煙が空へと昇る。御主人の前で両手を合わせ黙祷する二人。

 

(なんだろう、クロウ君が一人じゃ出来ない事って……)

 

 眼を閉じながら、少女は今さっきの少年の言葉、その意味を考えていた。



(無いよね、、クロウ君が出来ない事なんて)



 少年と共に暮らし始めてから2ヶ月。

 長くは無いが、互いの事をそれなりには知る事が出来る期間。

 彼女の記憶の中で、少年は特に苦手という事が無かった。

 しいて言えば、コンピューター関連の事だろうか。

 以前試しに電卓を渡した時も操作方法に間誤付き、結局は暗算で計算を行なっていた。



(でも、お墓では関係ないよね?)

「御主人」



 隣からの声に視線を移せば、少年は既に黙祷を止め墓石を見据えていた。



「遅くなりましたが……」

 

 次に続いた少年の言葉に、少女は愕然とした。



「今よりこの場を以て、御主人に与えられし[クロウ]の名、、お返しします」





 

 昔、一羽の鴉が居た。

 

 自然の中に産まれ育ち、やがて1人の老紳士と出会った牙を持つ鳥が。



 老紳士を慕い、生涯を終えるまでの短い時を共に過ごした”彼”が手にしたのは1つの名。

 

 その身を悪魔に変えられようと、決して忘れる事の無かった名。



 クロウ。



 それが、一羽の鴉だった少年の名前だった。









「今よりこの場を以て、御主人に与えられし[クロウ]の名、、お返しします」



(え……?)



 驚愕し眼を見開く少女を尻目に、少年は言葉を続ける。



「貴方と過ごした日々のおかげで今の俺が居ます。これまで、ありがとうございました」



 静かに頭を下げる少年。少女はその姿を黙って見つめる。

 やがて少年は頭を上げると、まるで糸の切れた操り人形のように、その場に崩れ落ちた。

 

「ちょ、ちょっと!?」

「ふう……」

 

 尻餅をついたまま、少年は頭に手を添えて笑った。



「緊張したよ……」

「大丈夫?」

「ああ、大丈夫」



 少女が差し出してくれた手を支えに、少年は立ち上がる。



「帰るか」



 墓石を一瞥し、そのまま歩きだす少年。



「え、ちょっと待ってよ!」



 荷物を拾い慌てて追い掛ける少女。



 二人が去った墓石からは、白い煙が空に向かい淡々と昇り続けていた──。







「これが、、クロウ君の出来なかった事なの?」

「ああ、そうだ」



 立ち並ぶ墓石の中を、2人は駐車場側の出口を目指して歩いていた。

 隣りに追い着いた少女の問いに、少年は歩みを止めぬまま答える。



「人間に飼われる動物にとって名前とは、、主と己を繋ぐ鎖のようなモノだ。そしてそれは安泰の約束であり、自然との決別の証でも在る」

「……そうだったんだ」

「まあ、全ての生物がそんなに難しい事を考えている訳では無いんだけどな。これはとある人の受け売りなんだ」

「とある人?」

「ああ、、俺より先に俺と同じ苦しみを味わった人の、、人にされてしまった獣のな。と、それは良いとして……」 

 

 稲妻を纏う銀髪の青年を脳裏に浮かべながらも、少年は話の筋を元に戻す。

 

「本来なら俺は二ヶ月前、、君と出会った時に[クロウ]の名を返さなければならなかったんだ。あの時から俺にあるのは前を歩む[主]ではなく、隣に居てくれる[恋人]だったのだから。だが……」

 

 少年は少女に顔を向けた。いつものどこか強気な表情ではなく、心底弱り切った眼差しで。

 

「……何度か墓参りに来てみたが、結局一人では言えなかった。恐かったんだ、御主人との鎖を切るのが」

 

 自嘲する少年。困った事にこの少年には年相応の笑顔よりもこういう、年不相応の表情が似合う。

 

「情けないよな。家に帰れば君が居てくれるのに、もしも君が居なかったらと考えて、、それが恐くて震えてしまうんだ」

「そうだったんだ、、ねえ? 今も恐いのかな」

 

 サラリと出て来た[恋人]の単語に頬を染めながら、少女は心配そうに少年を見下ろす。



「ああ、だから」



 突然右手を伸ばし、彼女の手をやや乱暴に掴む少年。



「手、握ってていいか?」



 俯きがちに尋ねる少年。

 捕まれた手の平から、彼の震えが伝わってくる。



「うん、いいよ」



 優しく少年の手を握り返す少女。

 少女には仕えし主も、変えられた身体も無い。

 名前は親から授かった物だし、束縛も無ければ約束もされていない。

 元より少年が過去を語らない性格な為に、詳しい事も殆ど理解できていない。



 それでも、今日の少年の行為がとても勇気がいる事だというのは理解出来た。



「私は、アナタの恋人だもん」



 頬を染めながら、少年はゆっくりと歩み始める。それに続く少女。



 鴉の姿を捨てた少年と、鴉だった彼に恋をした少女は帰路を進む。



 新たなる[二人]の居場所へ──。

 





「ところでさ」

「ん?」



 墓石の群れから出て、砂利を敷いただけの駐車場を抜けて。

 歩道を歩きながら、思い出したように問い掛ける少女。



「これからはどう呼んだらいいの?」



 ふと、少年の歩みが止まる。どうやら何も考えていなかったようだ。



「はて、どうしたものか……」

 

 頭を抱える少年。あれこれと考える姿をやや呆れ顔で、しかし笑顔で少女は見つめていた。

拍手[0回]

 
■桜花の独白:17文字のメッセージ■
 
 ……貴方がその結論に至った理由を、出来事を私は知らない。貴方の口から伝えられた事、それが全て。

 貴方がその考えを持った経緯を、私は知らない。仮に知ったとしても、その時の貴方の心を理解する事など、到底無理な話。

 だから私は、貴方を真に理解する事など出来ない。同じ事柄を味わったとしても、それで感じる事は細かい所で違う。

 その違いを知る事が、怖い。だから貴方の苦しみを聞いても、慰め、励ます事が出来ない。

 ……それでも、貴方は私が苦しみ嘆いた時、私を慰め、理解し、励ましてくれた。

 それを私は嬉しく思った。だから、貴方が過去の苦しみを発した時、どうにか元気になって欲しいと思い、17文字の言葉を送った。

 その言葉の真意を、貴方は気付かなくて良い。只自分に都合の良い解釈をし、元気を出して欲しい。

 ……元々、そういう目的の為に送った言葉なのだから。貴方が元気になって欲しいと、願って送った言葉なのだから。


 そんな事を思いつつ、桜花はベットに、眠る彼の隣へと潜り込んだ。

■桜花の独白:もしも自分が……■
 
 暗いニュースを知る度に、もしも自分がそのような犯罪を起したら、、という妄想に囚われる。


 家族殺し、、毒薬散布、、、自爆テロ……。


 犯罪を起す瞬間など、私には分からない。だから、思い浮かぶのは被害者の顔。


 そばに居る人々が、笑わなくなる瞬間。


 その度にいつも、心臓を鷲掴みにされるよう感覚と、その直後に身体を突き抜ける恐怖に襲われる。


 それを感じる限り、それに襲われる限りは、自分はまだまともなのだと安堵している。


 もしもそれを感じなくなったら、それは私が”そちら側”に行ってしまうか、或いは空想という行為を楽しめなくなった時だろう。


 私よ、どうか何時までも怯えていてくれ、恐怖してくれ。


 他人の不幸が蜜の味ならば、その蜜はきっと腐って黒くなっているだろう。


 そんなモノを進んで舐め啜り、笑みを漏らす様な人間には成りたくない。

■エイの独白:異形■

 ……人間の感情というモノは、どうしてこうも不思議なのだろうか。


 目の前でテレビ画面を観ながら、今更ながらにそう思う。

 テレビに流れるのは午後のニュース。その中の特集に、外国で流行しているらしい”肉体改造”を取り扱っていた。


 舌を二股にした者に始まり、皮膚を変形させた者、腕を自らの意志で切り捨てた者、、次々と紹介させる”肉体改造”を行った人々。


 彼等に向けるコメンテーターの眼は冷ややかだが、外国ではそれなりに認められているらしい。

 まあ、流行として取り扱われているのだから当然か。

 その癖、その国では古来から続く人種差別、、宗教や肌の色の違いを理由とした”子供の喧嘩にも劣る愚かなで不毛な争い”が続いている。


 肌の色には意味も無く拘る癖に、自らを異形の肉体に改造する事には何の抵抗も無い人々。

 
 ……伝統を重んじ、流行にも敏感、、か。


 こんな皮肉を浮かべるとは、自分も随分と冷めてしまっているらしい。

拍手[0回]

 
■七夕■
 
  桜花:……空、曇ってるね。

 エイ:そうだね、、まあ、良かったじゃないか。

 桜花:……どうして?

 エイ:一年に一回しか会えないのに、その一回の様子を観られてるなんて嫌だろう?

 桜花:……会えてるのかな?

 エイ:ああ、きっと仲良くやってるよ。

 心配そうに空を眺める桜花に、エイは優しく笑い掛けた。

 ……皆に観えないのを良い事に、一体何をしてるのだろう? そんな事をぼんやり思いながら。

■チョコを求めて■
 
 エイ:そうだな。確かにバレンタインの始まりは、お菓子会社の陰謀なのかもしれない。

 桜花:……。

 エイ:だがその習慣が成立したのは、、その陰謀すら利用して、自身の想い人に胸の内を伝えようとする人が多かったからだ。

 桜花:……。

 エイ:今、流行している”友チョコ”というのもそうだ。友達同士で騒ぎたい人々がいるからこそ、その宣伝は成り立っている。

 桜花:……。

 エイ:…いや、その、、つまりね?

 桜花:……ちょっと待ってて、、冷蔵庫の中だから。


 そう言ってキッチンへと消える桜花を、エイは照れ臭そうに見送った。


 一人になった居間。エイは僅かな笑みを浮かべる。


 それは桜花が作ったチョコへの期待であり、、中々そういう素振りを見せない彼女に慌てて、長々と講釈を始めた自身への自嘲でもある。


 キッチンの方から、小さな笑い声が聞こえて来た。


 それは普段の桜花からは想像出来ない”微笑”。その原因をエイは知っていたが、、、知っているが故に何も言えなかった。

 ……自分もまだまだ子供だな。

 紅潮した頬を撫でながら、エイは再び笑みを浮かべた。。

拍手[0回]

 
■陽光に魅せられて■
 
「太陽は、とても過保護なんだろうね」

「……過保護?」

「だってそうだろう? あの夕日」

「……」

「あれを昔、誰かが”血の色”だと言った」

「……そう言われると、少し不気味」

「でも、綺麗だろう?」

「……うん」

「きっとアレは、太陽が生命を削って輝かせているんだと思う」

「……」

「太陽は、自身が血を流してでも僕達に光を届けたかったのさ」

「……強いね」

「ああ、強いね」


 桜花は知っている。

 シミジミと夕日を眺めるエイこそ、太陽と同じ「強さ」を持つ青年なのだと。



 もしかしたら、神様の救った世界に「夕焼け」は無かったのかもしれない。
 光の支配する「朝」と、闇の支配する「夜」しか無かったのかもしれない。
 いや、、本当は「夜」とも言えない、何も無い「漆黒」だったのかもしれない。

 それを太陽がやって来て、明るい「昼」を作ったのだろう。
 月や星に自分の輝きを与えて、安らかな「夜」を作ったのだろう。
 自分の体を傷付けてまで漆黒に止まろうとし、、昼と夜の間に「夕焼け」を残すのだろう。

 闇に眠る生命を心配して、鮮やかな「朝焼け」を創るのだろう。
 
 母なる星さえも見守る熱い星は、今も空で輝き続ける。 。

■例え話■
 
――シュッ、、、バンッ! コロコロコロ……。


 エイ:‥‥‥。


――シュッ、、、、バン! コロコロ……。


 エイ:‥‥‥。


――シュッ、、バンッ!! コロコロコロコロ……。


 桜花:……なにしてるの?

 エイ:ん? ああ、、おかえり桜花。

 桜花:……ただいま。それで、何やってるの?

 エイ:いや、ちょっと暇潰しにね。


 そう言って、エイは手に持ったテニスボールを壁に投げ付けた。
 エイの手を離れたボールは綺麗な曲線を描いて宙を舞い、壁へと衝突すると床を転がって、、エイの手元に戻ってくる。


 エイ:単調な作業だが、、肉体を使う分、退屈凌ぎになる。少なくとも、テレビやらラジオやらを聴いたり観たりするよりは、、な。

 桜花:……そういうものなの?

 エイ:まあ、人それぞれだけど。僕の場合は、、そうだね。


――シュッ、、、バン! コロコロ……。


 桜花:……強く投げれば強く返り、弱く投げれば弱く返り、、なんだか人間と似てる。

 エイ:壁によって、跳ね返り方が違う所も、ね。強く投げても、弱々しく跳ね返したり、耐え切れずに割れてしまったり。

 桜花:……どんなに弱く投げても、強く強く返してくれたり、決して壊れなかったり。

 エイ:……返して欲しいと思う場所に、ちゃんと返してくれたりとか、な。

 桜花:……誰の事?

 エイ:壁の事だが?


 分かり切った答えに、分かり切った嘘。

 エイはボールをポケットに仕舞うと、夕飯の準備の為にキッチンへと向かうのだった。

拍手[0回]

アイコン紹介

ヒロト観風・笑顔

ヒロト・観風

ロゼ・伏せ目笑いチアキ・伏せ目笑い

ロゼ・チアキ

カオスタイムエヴァ

カオス・タイム・エヴァ

カナメディアン

カナメ・ディアン

メア01・笑顔メア02・笑顔メア03・笑顔

メア三姉妹

闇丸蒼

闇丸・蒼

詳しい情報は此方にて。
最新CM
[11/05 ジャックナイフ・ノーレッジ]
[09/10 ジャックナイフ・ノーレッジ]
[07/30 ジャックナイフ・ノーレッジ]
[02/20 夜のPC]
[12/07 暮森ヒロト]
[11/18 夜のPC]
[04/30 ジャックナイフ・ノーレッジ]
[02/11 ジャックナイフ・ノーレッジ]
[02/11 ジャックナイフ・ノーレッジ]
[02/11 ジャックナイフ・ノーレッジ]
最新TB
バーコード
お誕生日メモ

  九識     年明け さき     年明け メア三姉妹  1月13日 如月ついな  節分 暮森チアキ  2月04日 東北きりたん 2月13日 アリス    4月 タイム    4月03日 ファル    4月05日 凜花     4月15日 アイリ    4月28日 楠木理香   5月23日 楠木れたす  5月31日 水谷みう   6月   シュリ    6月10日 暮森ロゼ   7月06日 びーちゃん  8月   翠      8月03日 雪姫     9月10日 風花&翔矢  10月02日 昇&日菜   11月09日 まこ     12月23日