廃墟の語り場 希望
トリコロ、仮面ライダー、その他四コマ萬画やら普通の萬画やらを読んだり語ったり、対話式私信を送ったりする場所です。
作成日2006年4月3日、移転日は2009年5月13日。
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■希望■
 
「誕生日のお祝い?」

 唐突な質問に暫し黙考した後、夜沼エイはきっぱりと答えた。

「いや、今まで一度も祝われた事はないよ?」
「……マジかよ」

 エイの回答を聞き、質問者である石波光太郎は額に手を当てたまま、苦みの籠もった表情を浮かべる。

 語雪県警の廊下を歩きながら、光太郎が適当に吐き出した『誕生日』という話題。それが偶然にも、エイの異質な過去を浮き彫りにする形となってしまった。

「そんなにおかしな事? その、、『誕生日』を祝わないのは」

 大人に混じりKOGに立ち向かう十四歳の少年は、いかにも不思議そうな顔をして光太郎に聞き返す。口調こそ落ち着いているが、その態度は正しく子供だった。

「大抵の日本の子供は、誕生日を祝うモンだぞ? 家族でご馳走を食べたりプレゼントを買ったり……」
「……へえ、そういうモノなんだ」

 光太郎の説明に、エイは困惑するように目を細める。自身の家族と『世間一般の家族』とのギャップに、今更ながら衝撃を受けているようだった。
 その様子を黙って見ていた光太郎は、おもむろに口を開くとこう切り出した。

「なあエイ、家族と別れて暮らす気は無いのか?」
「……え?」

 突然の申し出にキョトンとなるエイ。顔を上げると、真剣な眼になった光太郎と対峙する。

「……唐突だねえ、、どうして?」
「どうして? お前だってお前の家族の異常さは分かってるんだろ?」
「それは、まあ……」
「別のマンションやら、、最悪此処の空いている部屋を借りてもいい。とにかくお前を家族から引き離したい。……どうだ?」

 光太郎の提案に、エイは腕を組んで再び黙考した後、ゆっくりと答えた。

「……石波」
「ん?」
「親が子を無条件で愛するように、子は親を無条件で慕うモノだと、、僕は思ってる」
「いや、それはそうかもしれんが」
「どんなに異常でも、、あれは僕の親なんだ」
「……そういう事か」

 エイの言葉の真意を悟り、光太郎は感慨と苦みを含んだ笑みを洩らした。

 エイは自身の家族の異常さを知っている。だがそれを『家族』として黙って受けとめようとしている。

「分かった。だが気が代わったらすぐ言えよな」
「ああ、分かってるよ」

 笑顔で答えた後、エイは光太郎と別れて自宅へと向かった。


 エイが『家族』を失う、僅か二時間前の出来事だった──。

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