月刊少年マガジン９月号分の、新仮面ライダーＳＰＩＲＩＴＳ感想。

　２００９年、月刊少年マガジン９月号に掲載された「新　仮面ライダーＳＰＩＲＩＴＳ」の感想です。



　人間、一文字隼人の最後を見よ。
　
　

■登場仮面ライダー■

仮面ライダー旧１号＝本郷猛


■敗北■

　さて、場面は前回に続いて、ゲバコンドルと戦闘中の仮面ライダー。
　
　改造人間の正体が本郷さんであった事に驚愕しつつも、滝さんは洋子さんを救出し、サイドカーで逃走します。

　一方、ライダーはゲバコンドルに苦戦。
　戦斗員の言う通り、この怪人は今までの改造人間の良い所を集めて作られた強敵なのです。
　その代わり、活動には女性の血液が必要だった訳ですが。

　ゲバコンドルに投げ飛ばされ、地面に叩き付けられる仮面ライダー。
　人質を取られたり、敵の罠に嵌る等で窮地に陥る事は何度か有りましたが、能力の差で追い詰められるのは今回が初です。

　
　舞台は代わり、教会の中。
　小暮さん(っぽい人)と石神さんを連れて、再生怪人軍団から逃走中の一文字さん。
　飛んで迫る蝙蝠男に机を投げつけたりしつつ、何とか物陰に隠れる事が出来ました。

　助けに来てくれた一文字さんに礼を言う小暮さん(っぽい人)。
　しかし一文字さんは、間に合わなかった人々の事を思い……。

　ショッカーの事を戦争、災害と称し、個人の力ではどうにも為らないと言う一文字さん。
　この辺り、ジャーナリストとして世界中を駆け回り、数多の裏側を覗いて来たからこその感想でしょう。
　しかし、石神さんの言う通り、怪人を前に抗おうとしたのは「一文字隼人」という個人の力で、そしてそれは、二人の命を救いました。

　そんな三人の背後から、壁に姿を擬態させていた死神カメレオン、更に前からは窓を背にした蜘蛛男が迫ります。

　死神カメレオンに殴り飛ばされるも、一文字さんは蜘蛛男を押さえ込みました。その隙に二人は窓を突き破って脱出。
　……今更ですが、ライダー(特撮全般とも言える)世界の人間って強いですなあ。　

　逃げた二人を追おうとする怪人達ですが、死神博士に一文字さんを確実に捕えろとの命令を受けます。

　虫ケラ二匹、逃がした所で問題は無い。
　無論、この虫ケラは石神さんと小暮さん(っぽい人)を指した言葉ですが、、これからのショッカーを思うと何とも皮肉な言い方です。

　そして一文字さん、、左腕には蟷螂男の鎌が刺さり、右腕はサラセニアンの鞭に囚われ、絶体絶命。
　この辺り、人間と改造人間の徹底的な能力差を感じます。同時に、彼等を相手にここまで頑張った、一文字さんの凄さも。
　
　ショッカーに捕らわれる前に、舌を噛み切ろうとする一文字さん。
　しかし、蜂女の催眠術を受けてしまいます。

　目を覚ました時、一文字さんは手術台の上でした。
　周りには手術着の男達、、一文字さんの悲鳴も虚しく、改造手術は開始され……。


　さて、それはさておいて。
　一文字さん達に迫る怪人軍団、それぞれの特殊能力を生かしていて良いですね。

　空を飛び迫る、蝙蝠男。
　姿を消して接近した死神カメレオン。
　蟷螂男の鎌に、サラセニアンの鞭。
　そして、蜂女の催眠術。　　　

　本編でも、トカゲロンの素体と為る男を拉致する際に死神カメレオンが姿を消し、蜘蛛男が糸を吐いていました。
　時が経つにすれ「再生怪人軍団＝ちょっと豪華な戦斗員」みたいな感じに為りましたが、この頃は未だ、生前(？)の能力を使う等の活躍をしていたんです。

　まあ、ライダーに対して全く敵わないのは、今も昔も変わりませんが。

■嵐■

　仮面ライダーとゲバコンドルの第二ラウンド。
　この恐るべき強敵を前に、仮面ライダーは戦友サイクロンと共に戦い、勝利を収めました。

　バイクを駆り、ショッカー怪人を破る姿は、正に仮面ライダーですね。

　場面は変わり、アミーゴ。
　本郷さんが仮面ライダーだった事に驚く滝さん。文字通り「まじまじ」と本郷さんを見つめて、睨まれてます。
　ちなみに特撮版の方では、この時点で既に藤岡弘、氏は入院中だったので実現しなかった２ショットです。

　本郷さんが「ショッカーの被害者である改造人間達を殺し続ける事」に悩み、疲れている事を、立花さんは見抜いていました。
　この辺り、萬画版での蝙蝠男戦やコブラ男戦を読むとより良く分かるかもしれません。
　
　但し、特撮版には自ら進んで改造人間を受けた男が存在しました。
　そう、本郷さんの友人でレーサー仲間の早瀬です。
　それまでショッカーの被害者だった筈の改造人間ですが、仮面ライダーと対極の位置に立つ「悪の怪人」としての側面も持つ様に為ったのです。

　本郷さんが自身の力を「善」として使う様に、逆に「悪」として使う者達も居る。
　人間が居る限り、この戦いは終わらないかもしれないという立花さん。

　しかし、本郷さんは闘うと応えました。

　ショッカーの敵、そして人類の味方。
　それが「仮面ライダー」の使命だから。
　例え未来が変えられなくても、見過ごせない今を救えるのなら。

　……特撮版では滝さんに正体を問われた一文字さんが応えた台詞。
　ショッカーの敵、人類の味方。
　それを本郷さんに言わせるとは、、上手いなあ。

　ちなみに萬画版ですが、コブラ男に狙われた少年を抱えながら語る本郷さんの独白が凄く熱いです。
　
　最初の驚きは何処へやら、仮面ライダーとしての決意を語った本郷さんに対して、あくまで「本郷猛」に対する態度でレースに誘う滝さん。
　この辺り、男の友情って感じで良いですね。本郷さんも嬉しそうです。

　と、ルリ子さんがショッカー調査用のバイクを用意してやって来ました。
　より積極的に協力しようと思ったのは、やはり一文字さんに「本郷猛＝仮面ライダー」の可能性を示唆されたからでしょうね。
　大切な人の力に、少しでも為りたいと。
　ルリ子さんがショッカーに係わる事を快く想わない本郷さんでしたが、結局は押し切られてしまいます。

　バイクを弄りながらイチャイチャしてる（オイ）二人を余所に、滝さんと立花さんは本郷さんの事を心配中。
　身体は怪人（バケモノ）同様、しかし心は人間のまま。立花さんはソレを「地獄」と称しました。

　萬画版並びに特撮版初期にて、本郷さんの超常能力に対する戸惑いについては何度か触れられていました。
　今までと同じ様に生活しているだけで、水道の蛇口を捻りきり、子供の手を握り潰しそうに為り、傷は即座に修復する。
　ソレだけでも辛いだろうに、加えてショッカーの襲撃に備えなければ為りません。
　本郷さんの様に強い心の持ち主で無かったら、狂ってしまうか悪の道に奔ってしまう事でしょう。

　そして仮面ライダーも、正に「地獄」と呼べる戦いに直面しました。
　トカゲロンと、再生怪人軍団の襲来です。

　……って、ちょっと待った！
　特訓シーンはスルーなの！？
　村枝先生が、あの特訓シーンをどう描くか楽しみだったのですが。
　
　早瀬としての意識を保ちながら、人間としての心を失ってしまったサソリ男。
　それをチョップで倒すと、仮面ライダーはショッカー打倒の決意も新たに、怪人軍団へと挑みます。

　その姿は正に、悪を蹴散らす嵐の男！

　一文字さんを苦しめた再生怪人軍団をバッタバッタと薙ぎ倒し、遂にトカゲロンとの一騎打ちです。
　ライダーキックも通じぬトカゲロン、その必殺シュートは非常に強力。
　しかし、今の仮面ライダーには立花さんとの特訓で会得した新必殺技が有ります。

　そう、、電光ライダーキック！
　仮面ライダーＳＰＩＲＩＴＳ第一話でも放たれた、ライダーキックの２倍の威力を誇る大技！！

　必殺シュートを打ち返され、トカゲロンは再生怪人軍団の遺体諸共に爆惨。
　こうして仮面ライダーは、トカゲロンと再生怪人軍団に勝利するのでした。
　
　駆け付ける立花さん、滝さん、ルリ子さんを残し、サイクロンで走り去っていく仮面ライダー。変身を解いた本郷さんの顔は、、哀しそうに歪んでいました。

　ちなみにこの時、ライダーと見つめ合うルリ子さんが凄く可愛いです。

　特撮版では、この回が旧一号編のラスト。
　次回からは一文字隼人を主役にした２号編が始まります。

■悪夢の邂逅■

　さて、場面は変わりまして。
　新聞社に警察にと、ショッカーの存在を訴える小暮さん（っぽい人←もう外しちゃっても良いかなあ）と石神さん。
　しかし、当然の事ながら相手にはされません。

　困った二人は、一文字さんの言っていた言葉を頼りにルリ子さんへと連絡。
　ルリ子さんは手掛かりを得る為に、緑川博士の残した書類を片っ端から調べます。
　この時、遺品を躊躇無く扱うルリ子さんが良いですね。本郷さんが言っていた「今を救えるなら」に通じる物が有る気がします。

　しっかしショッカー、裏切り者の博士の家をそのまま残して置くとは、詰めが甘いですね。
　この経験が有ったからこそ、一条博士の家は燃やしたのかもしれません。（結局、書類は隠し部屋に有って無事だったのですが。やっぱり詰めが甘い）

　ルリ子さんの御陰で、一枚の見取り図が発見されました。
　東京都、夢の島埋め立て地の地下に存在している、ショッカーアジトの見取り図が。

　早速、滝さんと立花さんが潜入。
　我等の仮面ライダーも、既に別ルートで内部に潜り込んでます。

　見張りの戦斗員を倒し、とある部屋へと入り込む仮面ライダー。
　そこは手術室で……。

　手術台に眠る一文字さんを発見した所で、今回は終わり。