月刊少年マガジン８月号分の、新仮面ライダーＳＰＩＲＩＴＳ感想。

　２００９年、月刊少年マガジン８月号に掲載された「新　仮面ライダーＳＰＩＲＩＴＳ」の感想です。



　それは、始まりの物語。
　それはそうと、すっかり更新が遅れたな。



　申し訳ない……。
　

■登場仮面ライダー■

仮面ライダー新１号からＺＸまでの１０人ライダー(冒頭のみ)
仮面ライダー旧１号＝本郷猛


■時代が望む時、仮面ライダーは必ず甦る■

　さてさて、そんな訳で始まりました。仮面ライダーＳＰＩＲＩＴＳ、改め「新　仮面ライダーＳＰＩＲＩＴＳ」の連載再開です。

　扉絵は上記の、石ノ森章太郎先生の言葉。
　続いての見開きページでは、切り立つ岩石海岸で夕日に照らされる１０人の仮面ライダー！

　最高に格好良いのですが、暫くこの１０人の出番は無し。
　今回より語られるのは、、二人の仮面ライダーの戦いです。　

■初邂逅■

　さて、始まりは本編（特撮版）でのサラセニアン戦後のシーンから。

　子供の頭を優しく撫でてあげる本郷猛。
　何とも若々しい姿、微笑みも幼く感じます。

　この萬画ではカットされてますが、このシーンでの玩具絡みの会話の流れが個人的に好きだったりします。　

　そんな様子を、遠方から撮影している男が一人。
　　
　電流の流れる音さえ聞こえる、改造人間の聴力を持つ本郷さん。当然ながらシャッター音にも気が付いてました。
　姉弟を見送ってから振り返る時の、凛々しい表情が格好良いですね。其処に居るのは先程までの優しい青年では無く、一人の戦士だった。
　そんな感じで。

　さて、男の正体は一文字隼人。
　この頃は、未だ人間です。

　独り言の様に見えますが、シャッター音が聞こえてるって事は一文字さんの台詞も、本郷さんには筒抜けなんだよね。
　つまり、この時点で一文字さんは本郷さんに、自分が「ショッカー」と「改造人間」について知っている事を暴露してます。　

　バイクで走り出した一文字さんに追い付く本郷さん。
　テクニックは勿論の事（この時点での一文字さんは、立花藤兵衛曰く「素人」レベルだそうな）ですが、サイクロン号の性能ってのも大きい気がします。

　さて、本郷さんと一文字さんの初邂逅ってのは本編(特撮版)で深く語られて無い分、作品によって区々です。

　石ノ森先生の萬画版では、既に改造を施されショッカーライダーの一人として初登場しました。
　平山亨氏監修の「超科学分析仮面ライダーが面白いほど分かる本」では、一流レーサーとそれを追うカメラマンとして以前から知り合いでした。
　
　この、新仮面ライダーＳＰＩＲＩＴＳでは、全くの初対面。
　独自にショッカーの影を追っていた一文字さん、蝙蝠男戦で初めて「仮面ライダー（この時は未だ怪人呼ばわり）」の姿を目撃したみたいです。

　道を遮るトラックを、それぞれ上下から躱す本郷さんと一文字さん。
　……死神カメレオンの罠か！？(誕生してません)
　
　本郷さんは「命が惜しかったら二度とショッカーに近付くな」と警告しますが、一文字さんは「更にお近づきに為る予定」と聞き入れず。

　そのまま走り去る本郷さんと、それを見送る一文字さん。
　二人の初邂逅は、こんな感じで終わりました。

■怪人作りの専門家■

　さあ、場面は変わってショッカー基地。
　何やら首領に報告をしているのは、、死神博士！

　本編ではゾル大佐が倒された後、１号ライダー復帰戦の「死斗！　怪人スノーマン対二人のライダー」で初登場した第二の幹部が登場です。

　死神博士の提案した「偉大なる計画」、、仮面ライダーＳＰＩＲＩＴＳを読み続けた方なら御存知の通り、自分の器作りの事ですね。

　我等の仮面ライダーの手によって、既に四体もの怪人が葬られているショッカー。
　しかし死神博士は「寧ろ奴の性能を知る良い実験材料に～」と余裕です。
　この辺り、組織の強大さと不気味さが出ていますね。

　仮面ライダーの出来に、未だ満足していないらしい首領。
　それに対して死神博士は、ヨーロッパへ帰る前に「更なる男」を作る事を宣言します。

　んー、、この口振りからすると、仮面ライダーの誕生には死神博士も立ち会ってたんでしょうか。
　それとも立案だけで、実際の改造やその他諸々は日本支部(と言うか緑川博士)がやってたとか？
　先に「仮面ライダーのなんでだろう」って本で「死神博士は仮面ライダーの改造手術には立ち会ってない」って説を読んでいたので、私的には少しだけ違和感を覚えたり。

■闇に触れた人々、闇を知ろうとする者、闇に抗う男■

　さて、場面は変わって一文字さんの取材風景から。
　相手はショッカー被害者遺族の方々。

　中央に居る男女の内、女性の名前が「石神」って事は、隣の男性は小暮さんかな？
　後に本編はショッカーライダー編に登場し、ＦＢＩさえ掴めていなかった首領の正体まで突き止めた(結局は罠だったけど)アンチショッカー同盟の面々って事やね。

　全世界に広がっているショッカーの規模、それに気付かない民衆への怒りを露わにする男性。
　母親を殺されて間も無い悲しみから、涙を零す石神さん。

　そんな彼等に対して、一文字さんはあくまで冷静。
　まあ、確かに何の被害も受けていない人間からすれば「世界征服」なんて言葉、信じられる訳がないですよね。
　実際に被害に遭われた人々にとっては、残酷な言葉だとは思いますが。
　
　一文字さんの態度に不信感を憶える被害者遺族の方々。小暮さん(っぽい人)も顰めっ面してますが、石神さんだけは何かを感じ取ったみたいです。
　やはり彼の本心は、、実際、一文字さんが語ったのは「民衆」の話であって、彼自身は「信じない」とは言ってませんからね。

　と、不意に鳴り出す黒電話。
　どうやら一文字さん、集まってる方々以外にも取材を申し入れていたみたいです。

　その方の名は、緑川ルリ子。
　そう、本郷猛の恩師にしてショッカーの裏切り者として殺された緑川博士の一人娘。
　ミニスカ生足が素敵な女性です。(コラ)


　一方、仮面ライダーは蟷螂男と戦闘中。
　確か本郷さんの幼馴染みが襲われる回でしたっけ？　個人的には、時限爆弾の罠を使って変身するシーンが印象に残ってます。

　瞬く間に蟷螂男を初めとするショッカー軍団を殲滅する１号ライダー。
　この圧倒的な強さ、流石は本郷さん！

　しかし、、その内心はショッカーとの終わらぬ戦いに荒んでいました。

　暗躍する悪魔が存在し、狙われるか弱い人間が居る。
　それを放っておける本郷さんな訳が無く、、だからこそ、倒しても倒しても終わる事のない、バケモノ同士の死闘に悩み苦しんでいる。

　……むう、本郷さんがバケモノ”同士”とか言ってるのを見ると、悲しく為るなあ。
　　　

　さて、此処で場面は再び一文字さんの取材風景。
　今度の相手は先程の電話の相手、緑川ルリ子さん。
　ミニスカ生足が素敵な女性です。(大事な事なので以下略)

　開口一番に、本郷さんの潔白を宣言するルリ子さん。
　この凜とした表情も良いですが、直後に一文字さんにからかわれてムクれてる姿も素敵ですね。
　
　私は今まで緑川博士が何の研究をしていたのか詳しく知らなかったのですが、ルリ子さん曰く「戦争や事故、先天的障害者を補助する為の研究」をしていたらしいです。
　極めて人体に近い性能を持つ補装具の作成、その技術をショッカーに狙われてしまった訳です。

　もし緑川博士が無事だったなら、喪ってしまった身体の一部を取り戻せた人が大勢居たのでしょう。こんな所でも、ショッカーの影響が出て居るんですね。
　
「科学者が産みだすのは拳銃や爆弾だけじゃない」
「人間のために造りたいものだってたくさんあるんだ」

　ルリ子さんの回想中で緑川博士が話した言葉なのですが、萬画版最終話での、白血病の子供を救う為にショッカーの持つ技術力を利用とした一文字さんが思い浮かびます。
　どんな科学も結局は使い方次第なんですよね。

　本編、並びに萬画版でもですが、緑川博士は蜘蛛男の魔手に掛かり殺されてしまいます。
　その現場に居合わせてしまった事で、ルリ子さんは本郷さんが博士を殺したと、早とちりしてしまったんですね。

　彼女の誤解は、蝙蝠男の企みに巻き込まれた事で解かれる訳ですが、、その時の本郷さんの台詞が切なかった……。

　現在は、強大なショッカーにたった一人で立ち向かっている本郷さんの力に為りたいと願っているルリ子さん。
　どうでも良いですが、一文字さんに”恋”と称され、睨み付けている姿も素(以下略)。

　続いて、一文字さんの質問は仮面ライダーについて。
　人では無い姿をしていたけれど、多分、優しい方と答えるルリ子さん。この時点では未だ、仮面ライダーの正体に気が付いていなかったんやね。

　もしも仮面ライダーの正体が本郷猛だったらと一文字さんに聞かれて、ハッと為ってしまうルリ子さん。
　彼女はサラセニアン戦のどさくさで、少年の手を握り潰しそうに為る本郷さんも目撃してますからね。色々と思い至ったのでしょう。
　
　そして炸裂するルリ子ビンタ！　いや、これは一文字さんが悪い。
　それにしても、赤面してるルリ子さんも(以下略)。

■安らぎの場■

　さてさて、場面は変わってアミーゴへと帰って来た本郷さん。

　アミーゴは立花藤兵衛が経営していたスナックで、序盤では本郷さん達の拠点にも為ってました。

　ルリ子さんについて訊ねているのは、バーテンダーの史郎。２号ライダー編はサボテグロン以降は、何時の間にか居なくなってた人です。
　やっぱりサボテグロンに襲われて、怖く為っちまったのかな。一緒に襲われたライダーガールズは、そのまま残ってましたが。

　本郷さんの苦悩を見抜いたのか、疲れてないかと訊ねる立花さん。
　しかし本郷さんは首を振り、立花さんも深くは追求しない。
　ここでの静かなやり取りが、男同士って感じがして渋格好良いですね。

　と、ルリ子さんも遅れて到着。
　
　本郷さんへの「おかえりなさい」は、彼が仮面ライダーだと確信しての事でしょうか。
　辛く苦しい戦いに身を投じる本郷さんにとって、アミーゴってのは帰るべき日常の象徴なのかもしれません。

　私としては、立花さんとバイクの練習をしている姿の方が印象に残ってたりしますが。(おい)

■勃発■

　さあ、ショッカーとの戦いは続いていきます。
　
　死神カメレオン、蜂女、コブラ男、再生コブラ男。
　次々と出現する改造人間共を、バッタバッタと倒していく我等の仮面ライダー！


　余談ですが、仮面ライダーの逸話として何度も語られる「藤岡弘、氏の重傷事故」が発生したのは、再生コブラ男の回です。
　エンディングの撮影中、藤岡氏の乗ったバイクがカーブを曲がり切れずに転倒。電柱を支持するワイヤーに衝突した結果、左大腿部を複雑骨折する全治数ヶ月の重傷を負ってしまいます。　
　コレを受け、この回以降の話では本郷猛が殆ど登場せず(登場しても代役か過去フィルムの流用)、代わりのアクション要員として、新たに滝和也がレギュラーメンバーとして登場します。　


　場面はそんな滝さんが初登場する、ゲバコンドルの回。
　結婚式を挙げ、サイドカーで教会を去る滝さんとお嫁さん。
　祝福する来客の中には立花さんとルリ子さん、そして周囲と違って緊張した表情の、ショッカー被害者の皆さんの姿が。

　この時、彼等が滝さんと接触していれば……。
　
　旧友の本郷さんについて語る滝さんですが、お嫁さんには「捜査の途中だから気を緩めるな」と窘められます。
　どうやらこの二人、一部の書籍で載っていた「偽装結婚」だったみたいです。
　まあ、本編でも嫁さんについては初期の一部を除き、全く触れてませんからね。　
　コッチの設定の方が、スッキリします。

　その様子を遠くから、カメラ越しに眺めているのは一文字さん。
　何処からか情報を得たらしく、滝さん達がＦＢＩで有る事も把握してるみたいです。

　直後、女性の悲鳴！
　戦闘員に襲われる滝さん達、ちなみにお嫁さん役の名前は「洋子」さんらしいです。

　思わず助けに行こうとする一文字さん。
　その眼下、、サイクロン号の爆音を轟かせながら、我等の本郷さんがやって来た！

　カラーページ＆見開きで描かれる、旧１号の変身シーン！！

　その現場を目撃した滝さん、そして一文字さんの二人は、本郷さんが仮面ライダーだった事を知ります。

　ゲバコンドルに叩き込まれるライダーキック！
　しかしゲバコンドルは倒れず、ライダーとの格闘戦に。

　その様子を眺めていた一文字さんでしたが、携帯してたトランシーバーが急に鳴り出しました。

　通信を寄越した相手は石神さん。
　何とショッカー被害者の皆さん、ショッカーの罠とも知らずに教会へと潜入し、再生怪人軍団に囲まれてしまっていました。

　一文字さんの叫びが、痛々しい。
　頼みの綱とも言える仮面ライダーは、ゲバコンドルとの戦闘の真最中です。


　再生怪人は弱い、等と良く言われますが、それはあくまで仮面ライダーが戦った場合。
　本編でのトカゲロン回に始まり、一般人にとっては大いに脅威なのです。

　小暮さん(っぽい人)と石神さんを残し、怪人軍団に惨殺される、ショッカー被害者の皆さん。自分達の無力に、小暮さん(っぽい人)は涙を流します。

　自身が力を求める為、力なき者を葬る事に何の抵抗を感じない、ショッカーの怪人軍団。　　
　その魔手が残った二人に伸びようとした、正にその時！
　一台のカメラが、死神カメレオンに投げつけられました。

　見上げた先、、窓枠に腰掛けていたのは、一文字さん。
　石神さんの無線を受け、即座に駆け付けたみたいです。

　跳び降りた一文字さんが見たのは、無惨に散った、ショッカー被害者の皆さん。その表情が、一気に強張ります。

　一人の遺体を踏み付けながら接近して来た死神カメレオンに、一文字さんの拳が叩き込まれた！　続いて、後ろから迫る蜘蛛男を背負い投げ！！　

　剣よりペン。
　救えない事の多過ぎる世の中を何とかしようと　真実を暴く方法を選んだ一文字さん。
　しかし、そんな事がどうでも良いと思える程に、今の彼は怒りに燃えていた！！

　貴様は何者だ。
　怪人共の問いに、一文字さんは堂々と答えます。

　柔道六段。
　空手五段。
　人間、一文字隼人と。


　その様子をモニター越しに眺めていた死神博士。
　どうやら一文字さんを、仮面ライダーを倒す「更なる男」に相応しいと決めたみたいです。

　２号ライダーと倒された１号ライダーのイメージシーンで、今回は終了。